レーザー

重力波望遠鏡に欠かせないのがレーザーです。レーザーの仕組みを簡単に説明しましょう。レーザー光と普通のランプの光との違いは、波長が同じでありかつ揃っていることです。波長は光の色に相当します。赤い光は640~770nm、緑の光は490~550nmほどです。波長が同じでも山と谷が揃っていないと打ち消しあってしまいます。山と谷がそれぞれ揃った状態を「位相(いそう)が合っている」とか「コヒーレントである」とか言います。干渉計をつくる場合、ランプの光で完全な暗縞を実現するには、干渉計の2つの光路の長さが完全に同じでないといけませんが、レーザーだと波の山と谷さえ合っていればOKです。

さて、レーザーはどうやって作るでしょう。物体の中の原子は、エネルギーの最も低い基底状態(きていじょうたい)と、それより高い励起状態(れいきじょうたい)のいずれかにあります。量子力学の要請で、励起状態は飛び飛びにしか存在しません。エネルギーをもらうと基底状態から励起状態にジャンプする感じです。光を吸収させるとエネルギーを与えることができます。逆に励起状態から基底状態に戻るとエネルギーを放出するので、同じだけの光を出します。基底状態と励起状態1つの合計2つだと、吸収と放出を繰り返すだけで何も起きません。そこで励起状態を2つ用意します。エネルギーを与えて第一励起状態(高い方)に原子を移動します。そこから基底状態に戻るよりも早く第二励起状態(低い方)に落ちるような物体を選んでおけば、第二励起状態に原子が多く貯まります。この状況で第二励起状態と基底状態の差に相当する光をいれてやると、その光に触発されて同じ波長・同じ位相の光が放出されます。実際には、第二励起状態と第三励起状態の間でこの放射を作る四準位系レーザーが主流となっています(右図)。

レーザーにはいくつかの種類があり、ガスを用いたもの、固体を用いたもの、半導体のバンドギャップを用いたもの、などがあります。ファイバーレーザーは固体レーザーの一種です。