プロジェクト
重力波天文学のための量子制御技術
第二世代重力波望遠鏡がブラックホール連星や中性子星連星合体からの重力波を数多く観測しています。中性子星連星合体後の天体がどのような進化を遂げるかを鮮明に観測できれば、謎に包まれた天体の状態方程式を得ることができると期待されています。しかし、合体後の重力波の周波数は現行望遠鏡の観測帯域を少し上回る3~4kHzであると予想されています。高周波の感度を向上する案はいくつか提案されていますが、その基本となっているのが東工大グループが最初に提案したイントラキャビティ量子フィルタです。その後、そのアイデアをさらに発展させたものがいくつか登場しました。一つが信号リサイクル共振器に光パラメトリック増幅装置を導入して光ばねを硬くするという技術です。もう一つは信号リサイクル共振器に遅延線を導入して腕共振器の位相遅延を相殺するというロング信号リサイクリング共振器(LSRC)技術です。またこれらを組み合わせた量子エクスパンダーという案も登場しました。
量子フィルタの開発と並行して腕内光量を上げる試みも進められています。石英ガラスの鏡を用いると熱レンズ効果が大きいため、低温結晶鏡を用いることが提案されています。日本のKAGRAはすでに20Kまで冷やせるサファイア結晶鏡を用いていますが、別案として、123Kのシリコン結晶鏡を用いるという案があります。シリコンは123Kで熱膨張係数がゼロになるので熱弾性雑音という温度揺らぎに起因した熱雑音がゼロになるのです。これくらいの温度ですと、KAGRAのようにサスペンションファイバーを介した熱伝導で冷やすのではなく、熱輻射だけで十分な熱輸送ができ、より高いパワーを導入しても冷やすことができるのです。ただしシリコンを用いる場合はレーザーの波長を現行の1umから変更しなくてはいけません。1550nmもしくは2umが候補として検討されています。
オーストラリアでは高周波の重力波をターゲットとしたNEMOという望遠鏡の計画が立案されました。日本ではKAGRAのアップグレード案としてKAGRA+(HF)という高周波に特化したプラン有望視されています。そこで、このASPIRE-GWプロジェクトでは日豪で協力して次世代望遠鏡の開発をしていこうというわけです。
もう少し詳細な説明はこちら (PDF)。
メンバー
Kentaro Somiya (Institute of Science Tokyo)
David McClelland (Australian National University)
Masaki Ando (Univeristy of Tokyo)
Bram Slagmolen (Australian National University)
David Ottaway (University of Adelaide)
Chunnong Zhao (University of Western Australia)
Yoichi Aso (National Astronomical Observatory)
Shinji Miyoki (ICRR)
Carl Blair (University of Western Australia)
Daniel Brown (University of Adelaide)
Johannes Eichholz (Australian National University)
Kentaro Komori (Univeristy of Tokyo)
Yuta Michimura (Univeristy of Tokyo)
Jason Twamley (OIST)
etc.
問い合わせ先
E-mail: aspire(AT)gw.phys.sci.isct.ac.jp
住所:
〒152-8551 東京都目黒区大岡山2-12-1 本館226CDE
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